【keyword:動物たち】どうぶつたちのおかいもの 渡辺茂男 作
読んで、読んで とねだられた本の中で、その理由が容易に推測しやすいものと、難しいものがある。
この「どうぶつたちのおかいもの」はその後者で、どうぶつ好きの当時2歳くらいの息子が気に入る予感がして購入したのだが、予想以上に何度となく読まされた、母には少し不思議な1冊である。もちろん絵も内容も良質で、しかし「そこまで?」と思うほど。トランジスタラジオや千代紙など、なかなか現代の店頭では見かけないものがでてくるが、ちいさいこどもには気にならないようだ。それよりもライオンやシマウマ、ゾウなど大好きなどうぶつたちが自由に町を闊歩し、人と話し、おかいものをするという、その幻想に魅了されているようである。ちなみに、ここに出てくる動物たちは人間のセールストークに簡単に乗せられることはない。自分の意見をきちんと持ったスマートなどうぶつたちである。どうやらそこがこども心に痛快なのかもしれない。
息子の気に入りようを見て、絵本1冊の完成までに数年をかけるのもざら、と噂で聞いた「福音館」ならではのクオリティにあらためて感服した1冊でもある。
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