「いま、飛んでる?」ラ・カンパニー・コティディエンヌ(フランス)
昨年から自分の誕生日は、なにかこどもと思い出になるようなことをしようと決めた。
今年は、高円寺にある「座・高円寺」というシアターで、フランスのラ・カンパニー・コティディエンヌという現代サーカスのデュオによる舞台を観にいく。
国立サーカス芸術学校で出会ったというジャンとジェロームが、天井から垂れ下がる2本のテープと自転車1台のみで繰り広げる長い、長い一瞬のお話。
時間も重力も操ってしまうように見せる二人の演技は、日頃の鍛錬により繰り出されるものであることは鍛えられた肉体が物語っていた。
6歳の息子と一緒に、ふたりのとぼけた演技にひたすらクスクスと笑い、驚きの技にひたすら息をのんだ。
ごくごくシンプルな演出、ひとこと程度で済ませることのできる「一瞬」のエピソードが1時間ちかく丁寧に表現される。
限られた空間を最大限利用して店舗よく展開される、思いもつかない超人的なアクロバティックな演技で、あっという間の1時間。
たとえば、水道の蛇口から1滴のしずくが垂れるのを見たとする。だれかとそれについて50分語りあうようなことって、今のわたしの生活でなかなかない。
まさに哲学の国フランス、と感じた舞台。
息子とは昨年の「キュリオス」に始まり、今年は「CATS」を観たり、パフォーマーたちの迫力ある演技を生で鑑賞することが増えた。だけれど広い劇場ではなかなか至近距離で演技者の表情や美しい筋肉、したたち落ちる汗までは見えない。今回は小さな舞台で一番前に座ってじっくりと鑑賞をすることができたので、ただ「面白い」という感想以上に、出演者に対する畏敬の念のようなものが小さな息子に芽生えたように感じてた様子。それがとてもとても嬉しく感じた。
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