思い出のえほん for &Premium 2017 JAN.と『ママのためのシュタイナー教育入門』と、このblogのこと

いつもお世話になっているライターのUさんから、11月19日売 雑誌『アンド プレミアム』(マガジンハウス)「贈り物と、絵本。」特集にて「MY FAVORITES 29人の、私の思い出の絵本。」という「今の自分の一部を作った思い出の絵本」を選ぶ依頼をいただいた。

Uさんからメールいただいた時、ちょうどこのブログのアイデアを練りはじめ開設準備にとりかかっているころだった。誰に頼まれたわけでもなく始めようとしていたので、このブログの開設と親和性のあるUさんからのオファーが、これから自分が続けていこうと思っていることを後押ししてくれているようで嬉しかった。

開設準備があらかた整い、ひとつふたつ思い出深い本たちについて書き始めていた頃、『ママのためのシュタイナー教育』という本を読み進めていた。少し意外だったことに、この本はこどもとの関わり合い等に関する云々の前に、まず親が育児に終われ疲弊してどうしようもなくなった時のちょっとした対処法がイントロダクションだった。大前提として親たちが自分を大切にすることが、こどもを大切にすることであると、ドイツ人の著者は日本の読者にまず伝えたかったのかもしれない。「3歳神話説」しかり、親になるということは自分をある程度犠牲にすることだ、という風潮の強い日本で、誤解を恐れずに、というかとても論理的に、親自身が「自分らしさ」を失わないことが育児にとっていかに大事なことであるかについてその本は説いていた。1日の中で少しでも親が自分が気持ち良く感じる時間を作ろう、それをこどもに対し後ろめたく思う必要はない、と。

「大切なのは、人の考え方や感じ方ではなく、本当に自分が自分だと感じる場所を見つけることです。どんなふうに感じるとき、自分だなあと感じるとか、それは本当に、その人自身にしかわからないことですから。」

そこで、わたしはハッとした。

「こどもの成長記録の一環に」とかなんだかんだ企画主旨を用意してみたけれど、このブログを開設した本当の理由は、私が好きなことについて書きたかった、書く時間を作りたかった、つまり、どこかにわたしだけのスペースをつくりたかったのだと気がついた。

さらに『ママのためのシュタイナー教育』はこんな助言まであった。

「一生同じことをやるという、本格的なことでもありません。変わっていくでしょう。ただ、もし、たのしいことが見つかったら、ある一定の期間は、同じことを習慣にすると、力になると思います。」

半生、ずっと自分の飽き性に引け目を感じ続けてきた私はこれを読み、なんと気が楽になったことだろう。

4才になる息子はまだ字を覚えていない。絵本の読み聞かせを始めた時、文字を読むことは間違っても強制しまいと思った。成長の過程で、字を読めない時期にしかできない、心の耕し方があると確信した。わたしが本を読んで聞かせる時、一字一句聞き漏らさまいと全神経を注ぐ息子の表情に、いつもわたしは生き物としての美しさを感じる。5歳を過ぎる頃、息子はいやでもひらがなを全て覚えているかもしれない。簡単な絵本は自分で読みたがっているかもしれない。そのとき、わたしのこのブログに対する温度感もちょっと変わっていることだろう。あるいは逆に、まだ字を知らない息子に本を読んで聞かせた、二度と戻らない時間を懐かしく思い出す装置として、このブログの執筆を生涯変わらない楽しみとするかもしれない。

いずれにしても、出産して育児4年目にして、4年目だからこそ書き始められるものがあったことに、いま本当に幸せな気持ちでいる。開設にあたってはさまざまな本に著者に触発され、色々な方に機会を与えてもらったような感じでいる。そしてなによりすべてのインスピレーションの源は息子とのストーリータイムである。息子よ、いつもママと本を読んでくれてありがとう。

STORY TIME 365

2023年〜▼ 日々の記録。 2019年まで▼ こどもと選んだ、読んだ800冊を超える絵本の記録。読み聞かせや本の選び方、大好きな作家、図書館、美術館、絵本にまつわる日々のこと。

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