Józef Wilkoń /ユゼフ(ヨゼフ)・ウィルコン


久しぶりの「一目惚れ」である。ユゼフ・ウィルコン、という1930年生まれのポーランドのアーティスト。

アーティスト自身のことはひとまず置いとこう。

動物好きの息子のために、まずこの『やさしいおおかみ』を借りてみた。

一般的に「おそろしい」「凶暴な」動物が、実は気が優しかった、という絵本はとても多い。哀しいかなオトナはついつい結末を1,2ページも読むと展開が読めてしまうけれども、こどもはそういういことは別段気にならないらしい。どの本もいつも真面目な顔で聞き入る。たしかに、似たようなストーリー展開でもちょっとしたディテールの差でそれぞれに作家の個性が出るから面白く、読んでいるこちらも最後は気持ちが昂まってきて最後にはいつも「ああ、よかったね」と感想を口にしてしまう。

さてこの『やさしいおおかみ』は、題名からすでに軽く推察いただけると思うのだけれど、そういう話である。しかし、驚くほど挿画が素晴らしい。「やさしい」の表現がここまで適切に伝える絵もそうそうない。登場する動物たち、森や草花、四季の移ろいの様子、動物絵本の醍醐味を感じる。

さっそくイラストを担当した「ユゼフ・ウィルコン」のほかの作品をamazonで調べてみたら和書で既存で販売されているものがまったく無く、愕然とした。

しかし、である。久しぶりの図書館、また20冊くらいバサっと借りてきた中によく見ると「ヨゼフ・ウィルコン絵」と記された本があった。『やさしいおおかみ』と同じアーティストである。人生2冊目のウィルコン絵の本『くろねこのかぞく』はピョートル・ウィルコン、ヨゼフの息子が作者で、ウィルコン親子にとって最初の共作であったらしい。


この『くろねこのかぞく』は「セーラー出版」という聞いたことのない出版社から出ていて、表紙のそでには「ウィルコンの絵本」として15冊もの本が発売中の和書として掲載されていたが、この「セーラー出版は2013年に「らんか社」と社名をあらためそうで、規模を縮小したのかウィルコンの作品の刊行は『にじ』という現在1冊のみにとどまってしまったようだ。

けれどもJózef Wilkońで画像検索すれば膨大なさまざまな作品に出逢えるので、もし興味を持たれた方はぜひ閲覧をしてみてもらいたい。またアーティストのFacebookページと、ポーランド語だけれどウィルコンの財団のホームページがあり、情報量は多くないがウィルコンの活動状況を伺いしることができる。

むすこには内緒だけれど、今年のクリスマスプレゼントに、ウィルコンが描いたチーターのイラストのポスターをフレームに収めたものを贈ろうかと画策している。喜んでくれるといいな。

追記:どうやらジョゼフ・ウィルコンという表記の和書もあり、ジョゼフだと現行で手に入る和書がいくつか発見できた。

STORY TIME 365

2023年〜▼ 日々の記録。 2019年まで▼ こどもと選んだ、読んだ800冊を超える絵本の記録。読み聞かせや本の選び方、大好きな作家、図書館、美術館、絵本にまつわる日々のこと。

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